2019年12月17日
いつもの血液検査で 心不全がわかる?
「上皇后さまは今年に入ってから、散策後に息が切れる症状が目立つようになり、定期検査で、血液検査の異常が指摘される!」
この発表を聞いたことがある方も、多いと思います。この血液検査とは、BNP検査のことと思われます。
では、BNPとは、なんでしょう?
心臓から分泌されるホルモンの一種です。心臓に負担がかかった状態(心不全)になると、大量に分泌されます。このホルモンの量を測定することによって、心不全の重症度がわかります
松尾壽之(まつおひさゆき)博士、寒川賢治(かんがわけんじ)博士によって1988年に、日本で発見されました。心不全の程度を示す血液検査として世界中で用いられています。
BNP検査だけで心臓病の全てが分かりますか?
BNP検査は心臓への負担の程度を大まかに知ることができる検査です。
心不全の原因となる病気の診断は、別の血液検査、心電図検査、レントゲン検査、心臓超音波検査、心臓カテーテル検査、運動負荷検査や核医学検査などが必要になることがあります。我々、循環器専門医は、患者さんの症状に加え、これらの検査結果を総合的に判断し心不全の状態を診断します。ただ、このBNPは、心臓が弱った状態の診断とその経過を追うには、何よりも、簡便で、優れた検査と思われます。通常の血液検査の際の血液だけで済むからです。一般の開業医でも、広く用いられるようになりました。
病院によっては、BNPのかわりに、NT-pro BNPを測る施設もあります。BNPとNT-proBNPは同じ目的で使用されています。しかし、数値に違いがあり、一般的にBNPよりもNT-proBNPの方が4~5倍高い値を示します。どちらの検査を行ったのか混乱しないよう注意が必要です
(日本心臓財団HPより)
心不全のサインとは?
「いままでできていたことができなくなったら、心不全を疑う」ということです。
年をとると、体力がなくなり、坂を登っただけで、「ゼィゼィ」「ハァハァ」することがあります。しかし、「少し歩いただけで息切れがする」「重い荷物を持って歩けなくなった」など、普通にできていたことが大変になったら、「老化」と片付けず、「心不全」を疑うことです。また、「むくみ」や「体重増加」も心不全の前兆です。そのほか、「疲れやすい」「咳が出る」「食欲不振が続く」といった症状も心不全の危険なサインです。
これらの症状があれば、かかりつけ医や循環器専門医に相談しましょう。
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