お知らせ

2019年03月12日

膵臓がんの新たな腫瘍マーカーを発見

従来の腫瘍マーカー検査に、新たに別のマーカー検査を併用すると、膵臓がんの検出率が向上し、高リスク患者の早期発見に有用な可能性があることが、米ヴァン・アンデル研究所のBrian Haab氏らによる研究で明らかになった。研究の詳細は「Clinical Cancer Research」1月7日オンライン版に掲載された。

 

以下は、日本臨床内科学会メルマガより、抜粋~

 

膵臓がんの多くは初期症状を伴わないため診断が難しく、発見されたときには既に進行した状態であるケースも多い。そのため、5年生存率はわずか8.5%にとどまるとされる。膵臓がんの代表的な腫瘍マーカーには糖鎖抗原のCA-19-9が挙げられ、血液検査で血中の量を測定する。しかし、この検査は膵臓がんの確定診断や経過観察の際に行われるもので、検診には用いられていない。また、この腫瘍マーカー単独では、膵臓がんの約40%しか検出できないとされている。

 

Haab氏らの研究チームは今回、CA-19-9とは異なる膵臓がん細胞の一群から分泌される「sTRA」と呼ばれる糖鎖抗原に着目。細胞株や患者由来の異種移植片、原発腫瘍におけるsTRAおよびCA-19-9の発現量や分泌を調べた。

その結果、CA-19-9を産生、分泌しない腫瘍細胞からsTRAが産生されることが確認された。また、CA-19-9とsTRAの腫瘍マーカーを併用すると、CA-19-9単独に比べて膵臓がんの検出率が向上することが分かった。これらを併用した場合の膵臓がんの検出率は70%で、偽陽性率は5%未満であったという。

 

Haab氏らの研究チームは、これらの検査の併用による有効性を確認するため、さらに研究を実施していくとしている。

 

私のコメント

 

早期に膵臓がんを見つけることは、非常に困難である現状で、膵臓がんを発症するリスクの高い、たとえば膵臓がんの家族歴がある患者さんや、膵嚢胞や慢性膵炎の既往がある患者、中年期以降に2型糖尿病と診断された患者さんなどは、この方法が確立されれば、非常に有効な早期発見の手立てとなると思われる。より早くこの新しい検査法が実用化されることが望まれる。

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