お知らせ

2018年03月25日

糖質制限食が 老化の進行を速くする?

東北大学大学院農学研究科の都築毅准教授らは、マウスに、脂質、糖質、たんぱく質のバランスが日本食に近い「通常食」と、炭水化物を脂質とたんぱく質に置き換えた「糖質制限食」のどちらかを与えた実験で、糖質を抑えた糖質制限食を食べ続けると、体の老化を促し、健康に影響をもたらす恐れがあることを発表しました。

炭水化物制限

昨今の糖質制限ブームに警鐘を鳴らす内容となっています。たしかに、当クリニックのダイエット外来を初めて受診する人のなかには、食べ過ぎを自分なりにコントロールつもりで、全くお米を食べない人がかなりの数いらっしゃいます。そのわりに、「アルコールと、おつまみですます」、とか、「朝食は食べない。」「3時のおやつは、クッキーにせんべい」などなど。せっかく、糖質制限したのに、痩せないと。

 

ただ、都築毅准教授らのマウスの実験では、極端な糖質制限であったのではないか、疑問が指摘されています。糖質を極端に制限したマウスの実験結果を人間に置き換えて考えても良いのだろうか?とも。

 

当クリニックとしては、ある種のテレビや雑誌がすすめる「全く炭水化物を抜く」ような極端な糖質制限はすすめません。ダイエットには、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが重要であり、適正な糖質、脂質、タンパク質、その他、野菜に豊富なビタミン類などの摂取を指導しています。昨年11月には、食育に特化した院内レストラン「メディカルキッチン・やまうち」を開設しました。そこでは健康食として知られた「タニタ食堂」日替わり定食と同じものを、実際の推薦メニューとして、実食してもらっています。栄養のプロである管理栄養士が、定食の総カロリー、塩分などを解説しながら、提供しています。ご飯は一食100g160キロカロリーをすすめています。低カロリーでありながら高栄養価の「タニタ食堂」専用の金芽米を使用しています。

 

以前には、都築毅准教授らは、1975年頃に食べられていた献立の特徴を有した食事(1975年型日本食)と現代食の生体への影響を比較したところ、1975年型日本食は健康有益性が高いことも、見出しています。

都築准教授は、「日本は世界的な長寿国。日本食の炭水化物が健康によくなければ、長寿に結びついていなかっただろう」とも述べています。

 

そもそも糖質制限食がブームになったのがごく最近のことですので、「どの程度の糖質摂取が健康にいいのか」、信頼のおける結論が出るのはまだ先になるでしょう。今回の研究は適切な糖の摂取の重要性や食生活の見直しが必要であることを示した、有意義な研究結果であったと思われます。いま、一つ確実なことが言えるとすれば、「食事は極端に走らない方がいい」ということです。

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